ここでは妊娠中に離婚する際の養育費についてまとめています。
目次
妊娠中の離婚でも養育費の請求は可能?!
妊娠中の離婚について知っておきたいのが、離婚して300日以内の出産になるのか、300日以上経ってからの出産になるのかです。
(1) 離婚届け提出後300日以内に出産した場合
この場合の親権、監護権は自動的に母親が権利を持つ事になります。 しかし、産まれてきた子は父親が確定された「嫡出子」となり、戸籍は父親の戸籍へ入る事となるのです。子の氏を変更する際は、家庭裁判所へ申し立てなければなりません。
- その為離婚していても父親としての扶養義務は発生し、養育費を請求する事が可能です。
(2) 離婚届け提出後300日以降に出産した場合
こちらの場合も親権と監護権は自動的に母親に権利が行き渡ります。 この場合産まれてきた子は「非嫡出子」と言って、原則的に父親が確定されておらず戸籍も最初から母親の戸籍へ入ります。
- その為父親に法的扶養義務が発生しません。
この場合父親に養育費を請求する際は、子どもを認知してもらう事が必要となります。
養育費の請求方法
•公正証書 やはり公的役場で公正証書を作成する事が効力もあり強力的です。 公正証書の場合、強制執行認諾約款を付ける事で養育費を滞った際に強制執行が可能になります。
•調停調書 妊娠中の離婚の場合、家庭裁判所に調停を申し立て、養育費の支払いの取り決めをする事も1つの手だと言えます。 調停で定められた内容は調停調書に記録され、法的効力が上がる為です。調停調書の際は養育費を滞った場合自動的に強制執行となります。
どちらとも法的効力がある重要なものとなる為、養育費未払いになった際の事も考えると、この2つどちらかの証明書の作成がとても大切です。
養育費の相場と支払い期間
養育費は子の年齢や支払い義務者の年収によって変わってきます。 ここでは大まかな目安をまとめておきます。
子の年齢(0〜14歳)
年収 養育費
- 〜100万→0〜1万円
- 〜200万→1〜2万円
- 〜350万→2〜4万円
- 〜500万→4〜6万円
- 〜750万→6〜8万円
- 〜900万→8〜10万円
子の年齢(15〜19歳)
年収 養育費
- 〜100万→0〜1万円
- 〜150万→1〜2万円
- 〜250万→2〜4万円
- 〜350万→4〜6万円
- 〜450万→6〜8万円
- 〜700万→8〜10万円
大体の相場ですが、支払い義務者の年収に対して養育費はこのような金額となります。
他には親権者の収入の有無や、支払い義務者の言い分、お互いの経済状況などによっても金額は異なってきます。傾向としては支払い義務者の年収が高ければ比例して養育費も上がり、親権者の収入が低いほど得られる養育費も上がるということです。
※ワンポイント
注意しておきたいのは、子どもの年齢によってかかる費用も変わってくるということです。
一般的には年齢が上がるにつれ、子育てにかかるトータル費用は上がる傾向があります。 養育費を請求する場合は、年齢に応じた対応をしてもらうことも視野に入れて話し合いをしておくと、後で揉めることが少なくなります。
養育費支払い期間
子どもが未成年の際に養育費を請求できる事から、子どもが成人する19歳までが一般的と言われています。
しかし、大学を卒業する22歳までなど、公正証書を作成する際に支払い期間の年齢を決めることで養育費の支払い期間を法的に定める事が出来ます。
養育費の減額は認められる?
公正証書など法的効力を持つ証明書を作成した後に養育費の減額は認められるのでしょうか?
結論から言うと、はっきり証明出来る理由が無い限り減額は認められません。しかしながら、減額が認められる場合もあり、具体例を上げると以下のケースが当てはまります。
養育費を支払う側
•離婚時と比べ、年収が下がった
•会社を解雇され一時的に無収入になった
•再婚した為扶養家族が増え、以前取り決めした養育費を支払う余裕が無くなった
親権者側
•離婚時より収入が増えた
•再婚をして養ってもらうようになった
上記の様な理由が正式に証明出来、支払う側から養育費減額請求調停の申し立てがある場合は、養育費の減額が認められる可能性もあります。
つまり、お互いの経済的状況によって、養育費の減額はおおいにあり得るということです。
決定した養育費が確実にもらえ続ける保証はありませんので、その点をしっかり考えた上で話し合い、ライフスタイルを考えましょう。
増額もあり
減額が認められるということは、もちろん増額が認められるケースもあります。
- 相手の年収が大幅に増えた
- 子どもが一時的に入院などで負担が増えた
増額する理由やその条件がしっかりと証明できる場合であれば、養育費の増額が認められる可能性もあります。
お互いの生活状況をある程度知れるようにしておくと、受け取る側も支払う側も養育費についての減増を考えることが出来ますので、離婚後も意識しておきたいポイントかもしれません。
法的効力を持つ対策をするべき
離婚後に継続して養育費が支払われているケースは、実際問題として全体の20パーセント程だそうです。
養育費の支払いがスムーズに行われていない理由の一つに、協議離婚の多さがあります。 協議離婚とは、お互いが話し合い、合意できる内容で離婚する方法です。
協議離婚自体は問題がありませんが、その際に法的効力を持つ証書を作成していないケースが多く、その結果養育費が不払いになることが多いのです。
- その時の感情で口約束で済ませてしまった
- 書類での手続きを面倒に感じた
- 相手を信用して書類は作らなかった
妊娠中の離婚で養育費の請求をする際に取り決めた口約束はその後何も効力もありません。
- 公的役場で公正証書を作成する
- 家庭裁判所で調停を行い調停調書を作成する
不払いの際には強制執行も可能で貰い逸れることのない対策を練ることが大切です。 自分と子どもの将来は自分で守るしかありません。しっかりとした知識をもつことがこの先求められます。